英語参考書レビュー

TOEIC満点の僕が思う基本英文700選の正しい使い方

基本英文700選

基本英文700選は、「英文が古い」「英文が不自然」「例文が多すぎる」など、様々な批判を受けることも多い。しかし、「全て暗唱できるようになった時の効果は絶大」「伊藤和夫氏の最高の名作」「700選で英語力が急激に伸びた」という熱烈な支持もある参考書だ。

駿台受験シリーズの中で発売以来多くのファンを生み、1986年に出版されて以来、30年近い歴史をもつ基本英文700選。
この本を高校生時代に必死になって700文暗記したドMの一人として、改めて基本英文700選の魅力をレビューし、700選を暗記する事のデメリットや、700選への批判について考えてみたい。


基本英文700選を丸暗記すると、英語力は爆発的に伸びる

基本英文700選は、「英文の“型”の全体像を掲示する例文集」という謳い文句通り、ありとあらゆる英文の形、構文を網羅した参考書だ。

時制・態・法にはじまり、前置詞や語法に至るまで、高校生に必要な英文法の知識は一通り完璧に習得できる。基本英文700選を丸暗記したおかげで英語が得意になり、大学に合格したという生徒も、この本の発売以来数多くいるはずだ。
というか最早、基本英文700選をやり込むと、高校生に必要なレベルを超越した英語の知識までも詰め込まれると言っていいだろう。

基本英文700選の良いところ

当たり前の事だが、700の例文を全て暗唱出来るようになると、英語力は飛躍的に伸びる。大学受験問題の英語長文などは、単語さえ分かれば英文の構造を見失う事はなくなる。

英作文の参考書として、いわゆる「英借文」のための例文インプット用と紹介されることが多い基本英文700選だが、英文読解・英語長文のためのリーディング力を鍛えることのできる参考書でもあると思う。
例えばTOEICの英文は非常に簡単なので、基本英文700選をやった事がある人にとっては、あまりにも文の構造が簡単すぎて拍子抜けするレベルであろう。基本英文700選の知識は、TOEICなどの英語の資格試験や、もしかしたら大学入試レベルにおいても、オーバーワークと言っていいかもしれない。

関係代名詞節が複雑に使われている英文であっても、大抵の文構造は「あ、これ700選でやったところだ!」状態である。どの節がどの部分を修飾しているのか、どのように訳すのが正しい解釈なのかが、基本英文700選の例文が頭に浮かぶとともに即座に把握出来るようになる。

また、英作文・英語ライティングをする際にも、当然700選の知識は役に立つ。

表現したい事があった時に、その内容・構成に最も近い例文を頭の中で思い浮かべる事で、既に暗記してある例文の単語を入れ替えたり、他の例文と組み合わせて表現を組み立てたりし、スピーディーに文構造が正しい英文をアウトプット出来るようになる。

基本英文700選の悪いとこ

しかし、ありとあらゆる表現を網羅した事によるデメリットや問題点も当然ある。確かに、不自然な表現や、700選を丸暗記してから結局一度も現実にはお目にかかる事がなかった英文も多い。

例えば、基本英文700選の「法」の部分にある以下の英文達。

323. Go where you will in Holland, you will see windmills.
オランダでは、どこへ行っても風車が見られる。

325. Let your occupation be what it may, you will not succeed in it, unless you devote yourself to it.
どんな職業であろうと、それに専念しなければ成功はしない。

通常の高校生であれば、「こんな表現習ってないぞ」って感じだろう。

そして、通常の生活をしていれば、こんな英文に出会う事はない。アメリカに留学して1年間政治学や歴史の教科書を多数よんでも、こんな表現に出会う事はなかった。
もちろんここで紹介した2つの例文以外にも、苦労して暗記したのに、今の今まで一度も役に立たなかった知識は多い。

また、その事と関連して、基本英文700選には解説がほとんど付いていないので、こういった複雑でよく分からない構文について、「何を暗記させようとしている例文なのか」を自分で見抜かなければならないというのも大きな問題点だ。

文法書を隅から隅まで読み、ようやくこの例文が「何を重要な事項として暗記させようとしているのか」を理解したとしても、結局それ以来一度も役に立たない知識というのでは、受験生やTOEICを目指す社会人にとって時間の無駄でしかない。

また、実際にネイティブと会話する時に、基本英文700選で暗記した例文に倣って自分の言いたい事を表現してみたところ、「イギリスの老人と話してるみたいだ」と言われてしまった。

要するに、1986年に出版されているということもあって、非常に古い表現や、ネイティブが絶対使わないような表現も多く含まれているのは事実だ。そして、その事が、基本英文700選では実践的な英語の知識は身に付かないという批判の大きな根拠となっている。

デメリットを理解して、正しく使う

このように、基本英文700選を暗記する事によるメリットは非常に大きいが、一方で重大な欠陥・問題点が存在している事も事実だ。

これらのデメリットがあるから、基本英文700選は使うべきではないという主張もあるだろうし、それも合理的な意見ではある。
しかしながら、基本英文700選がもたらしてくれた基礎力・英語力を考えると、僕はそれらのデメリットがあるからといって700選をやらないのはもったいないと思う。

主な問題は、使用者が700選に期待する役割と、700選が実際に鍛えてくれる能力との食い違いにあると言えるだろう。もしあなたが「英語で日常会話が出来るようになりたい」だけなのであれば、基本700選をやるべきではなく、おそらく他にふさわしい例文集があるはずだ。

では、基本英文700選に期待すべき役割とは何であろうか。

基本英文700選をやるべき人、700選に期待すべき事

基本英文700選を暗記する最大のメリットとは、英会話や英作文に慣れていない日本人が、文相互の関係や、自分が言いたいことを言うために必要になる英語の表現や文の構成を、即座に把握出来るようになることにある。

一番分かりやすい例としては、基本英文700選を暗記すれば、「自分が言いたい事に含まれる複数の時制」を即座に把握でき、正しい文の構成をとっさに思いつく事ができるという事がある。

例えば、両親がいない時に両親を尋ねてきた来客があったとして、その人が「午後に改めて来ます」と言って帰ったとしよう。
そして、あなたはその来客があった事と、その人が言っていた事を、その日から3日後に友達に教えなくてはならなくなったと仮定する。

これを日本語で言えば、「3日前、両親を尋ねてきた人がいたんだけど、両親がいなくて、その人はまた午後に来るって言って帰ったんだ」という事。

この事を表現するためには、「過去」「過去の時点からみた未来」「現在から見た3日前の“午後”」という3つの時間表現をどう英語で言えば良いのかとっさに思いつかなくてはならない。
これを、英語慣れしていない日本人が、会話の流れの中で即座に思いつき喋れるかというと、非常に難しいであろう。

こういう場面で、基本英文700選の例文を暗記している人であれば、即座に以下の例文を思い出せるはずだ。

681. He told the bookstore keeper that he would come there again to buy the book that afternoon.
彼は書店の主人に、今日の午後もう一度ここへ来てこの本を買いますと言った。

この英文さえ思い出せれば、あとは主語や目的語を入れ替えて、スピーディーに正しい内容を相手に伝える事ができる。

基本英文700選に期待すべき事はここにある。
出来事の前後などが複雑に絡み合う時、修飾関係や時制などを正しく並べて、相手が理解出来るような英文の元となる「引き出し」を多数作れることが最大のメリットだ。

そして、「引き出し」のレベルが、普通の日常会話レベルの例文集や会話例集を大きくしのぎ、非常に高度な「引き出し」まで提供されているのが700選の特徴である。

留学先大学で比較的高度なレポートを書かなくてはいけないとか、英語の歴史の教科書など複雑な文章を読まなくてはならない時などに、この高レベルな「引き出し」の数々が役に立つのである。

確かに基本英文700選の提供してくれる「引き出し」の中には、人生で一度も開けずに終わる「引き出し」もあるのだが、このレベルの英語の知識が必要になる人に取っては、非常に心強い参考書だと言えるわけだ。

基本英文700選はこんな人が使うべき

  • 大量に時間を割ける人(丸暗記に1ヶ月以上はかかる)
  • TOEIC程度ではなく、より高度な英文を読みたい人
  • どんな細かい文法の間違いもしたくない人
  • ドMな人
  • 日常会話の練習は、700選の暗記とは別個にしなくてはならない事を受け入れられる人

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